春呼び 春帯び

風が私を通りすぎるとき、私が風を切って走りぬけるとき、
すれ違う風のなかから、実は色々なものを受けとっていることを知る。
 
明らかに今までと違うにおいと温度、湿り気を含んで、かれは私に、すれ違いざまに囁く。
 
「くるよ。
 
 春が、くるよ。」

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