どうして歩いているのか

だーれもいない
暗くてあさい川。

さいごの60秒未満を
集中して しずかに待った。

何にも期待せぬように
こころをころして
こころをころして。

そしたら、
思わぬことがおきて、

あー また 救われてしまったんだな。

震えないように 気づかないように 向き合わないように
きっぱり、してた ふたが
ゆるんで、
一気に輪郭をもって、あふれてしまった。

大泣きしながら歩いた。
情けなくて、情けなくて。
でもうれしくて、うれしくて、
泣いて、笑って、泣いて、歩いた。

たよってごめんね。

あふれた感情が言葉になった、

美しくもなくて、
かけるのは迷惑ばかりで、
邪魔になるばかりで、
なんかの役にも立てなくて、
面白くもなくて、
優しくもなくて、
あげられるものもなくて、
べつに信念もなくて、
生きる理由がなくて、
得たものも、なくして、
ぜんぶなくなって、
なにもなくって、

ふたをしてたものが溢れた、気づいた。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

それでもあなたが、隣を歩いてくれたんだ。
生きろと、
いうてくれてる気がしたんだ。

なあ、きみがいたから、
生きてたよ。

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