よるめはきかない

7月六日(しなちく)
 
スーパーでたこ焼きと、ごま油を買う。
 
久しぶりに京阪七条駅前に来た。
京都タワーは色んなところから見えるから よく見るけど、
なんだか景色が懐かしい。そんなに経ってないのに不思議なもので。
 
雨が降っているにもかかわらずパンプスをはいて出かけた私は階段ですべってこけた。
ひゃっという声が反射的に出たのが可笑しくて私は笑った。
それを見ていた人はいない。階段ですねをすりむいたけど、どうってことはない。
 
人間の操る言語やルールや、当たり前の概念が、私にはわからない。
口にするしかなくて、でも単語と単語とつないだだけのまがいもの。
大事なものが、私には無いと人は言う。
それは違うよ、と人は言う。
 
心の中で、言えない言葉は、いちばん大事で伝えたい言葉は、
私が口に出すと、そこからもう全部まがいものになるから、
胸の中で叫んでいたよ。
胸の中で叫んでいたよ。

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