三月/なさげ(半朗読)

四丁目の交差点で車にはねられた。
三月にうまれたから、名前は三月(みつき)。
彼女はちいさな白い猫だった。

草むらをかけぬけ、息をした。
春にうまれて、夏を知った。
ふりそそぐ太陽と、高架下の静寂。

空き缶をける音。
「なあんもない人。」

ぼくと君は、いつも一緒だったのだ。

さざ波のようなおと。
寄せたあと、かえってゆく。
なにも残さず、引いてゆく。

“三月/なさげ(半朗読)” への1件の返信

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