久しぶりに神戸に来た。
夕方の三宮をぷらぷら。
駅前、歩道橋の上の露天で、おっちゃんが可愛い、ガラス細工のアクセサリーを販売してた。
どれもこれも めっちゃ可愛くてキレイやったから、
アクセサリーのうち、携帯ストラップを買おう!と思い、
(前の双葉ちゃんのやつをなくしてから、タイダイ染めみたいなヒモのみしか残ってなかったため)
おこめつぶサイズの三色のガラスが組み合わせられた ストラップ、
いっこくださいー って言ったら、
いろんな色があるから選んでもらってもいいよー、と、
いろんな色の、おこめつぶガラスが入った箱を出して、選ばせてくれた。
から、まず今年のチャレンジカラー・赤、
それに、珍しかったから、グレー、
あとおっちゃんが茶色はどうかね、と言うから、茶色っぽい、オレンジ。
できた!
ああ いい。
毎週土曜日に、お店だしてるそうです。
ネックレスもかわゆすぎて、たまらんかったな。
また行きたいなー 三ノ宮、遠い。
とうろう とろうと うろうろと
赤いイヤーホンを買った
雨の四条大宮。
ボロい、黒い色の折り畳み傘を差した、ボサボサの長髪のおっさんが一人、私の少し手前を歩いている。
私の彼の間に、犬が一匹、おっさんの後ろをついていっている。
もじゃもじゃした、毛むくじゃらの犬。
もともとは白っぽい色だったんだろうけど、雨と泥にまみれて汚れていた。口の周りなんかは真っ黒だった。
犬には首輪から繋がった紐が垂れているが、それは道にひきずられるままになっていて、紐を持つ人はいない。
でも、おっさんにぴったりくっついて、ずっと一緒に歩いていっていた。
個性的なふたりだな、と思った。なんだかとてもうらやましく、素敵だった。
おっさんは、身なりは汚かったけど背筋はシャンとしていて、堂々と歩くさまと、
たまにその道連れの犬を振り返って 手招きするようすが優しげで、
目はキラキラしていた。
素敵な人だなあ、と思った。
また会えたらいいな。
お葬式
なんど納戸あけたところで
それはむりだす
マザー
走る。
胸の中いッ、ぱいに広がったもやもやを 吹っ飛ばすために。
電車に乗った。
進行方向に向かって座席が並んでる形の車両で、
前の席に座ってる、知らないスーツの男の子(年齢はわからないがこう呼ぶ)の、窓際によっかかった後頭部が見える。
彼の、短い髪の毛からのぞく耳のかたち、頭のかたちを眺める。
髪の毛が今日の雨のためにか、うっすら濡れている。
この頭のなかに、いったい何が詰まっているのだろうか。
私と同じ、頭蓋に守られた脳みその中に、一体この人をこの人たらしめている、どんな、何が、詰まっているのだろうか。
私のそれと、何が違うのだろうか。どうして、違うと「感じる」のだろうか。
私は、また私に還っていく。
もちろん、ゼロから始めるのは不可能で、私は生きた、私は知った。
沢山のものを引きずりながら、ずるずる、もとの世界へ、帰る。
いつか子宮へかえる。
あなたが私を、私が私を、
愛したすがたに、還るんだ。
ドライ・モールト
犬
「手紙を書いた。部屋の中で帰りを待つ。
それが最後の手紙になった。
今日は機嫌が良い日、私は嬉しい。
洗濯物干してよ、と言われ、喜んで干す。
お寿司を食べに行く。スーパーで買物をして帰る。
ぶどうゼリーをあーんして食べさせてもらう。
パソコンをいじる後ろ姿を抱きしめる。
まんざらでもない様子。
流してくれる音楽は、私が彼に宛てた歌。
「そして僕は途方に暮れる」
「裸の君の笑顔をもう一度メチャクチャにしてやりたい」
それらを、流しながら二人で一緒に歌う。
少しだけ抱き合う。すぐに、ハイおしまい!と止められる。
アラームが鳴る。帰らなくちゃ。
でも、帰りたくない。どうしても帰りたく、ない。
抱きつけば、そのままでいてくれる。
どんなに一時的な愛情でも、私は、ほんのそれだけでも、
最後の最後まで、手放す決断が、できなかった。
次に起きたとき、終電が無くなっていた。
起こしたほうがよかったかな?って彼は言う。
ううん、大丈夫。私はこたえる。
自分で自分に傷をつけていることが、わかっている。
それでも、その言葉が。起こさずにいてくれたことが。
なんてみっともない、みじめな、それでも唯一の、
私の生きる、喜びだったことだろうか」