お客さんが試着室に入っていった。
「暫くしたら、声かけてあげてね。あと、でてきてもらってコメントしてあげるといいよ。自分だけだと、合ってるかどうかわからんからね」
意味がわからない
自分の着る服に、自分以外の誰の意見を聞くというのか。
いやいや、しかし私も他人の目を気にしてお洒落をするわけだ。うーん。
人の実家に行って、自分から一切名乗りをあげなかった私のあのパンク精神を見習いたい。ほんとに。
へたに人間ぶるからへたなボロが出るわ。
取り繕うから、暴かれるんや。
はじめからありのままじゃいけんのか?
何がむかつく、何がむかつかんも、人によって違うのに。
当たり前なんいらん
いやならいやで、怒るなら怒るでいいのに。
疲れるのう。
…なんてね
サイレン鳴らして走り去るパトカーを追いかけ、「ママあれ見て!むっちゃきれい!」って目をキラキラさせて叫んでたあの男の子みたいな
自由が欲しい
なれるはずなのに
やらないだけなんだ、ろうな
何が欲しいかなんてわかりやしない
だってそれは、手に入らない。