まわり道が好きや、時間をかけること、それ自体が好きや。探しものが何かわからないまま、探すことが好きや。
テレビじゃやってない。本にものってない。車に乗ってちゃみつけられない。誰に聞いても教えてくれない。
気まぐれのナントナクで決めた毎日が、好きや。
信念や粘り強さなんて、けったくそもないさ。
それでも、わたしは生きている。
いま生きている。
人は死にます。いつか死にます。
私も、大切な人も、いつか死にます。
好きなことを、好きなように、好きなだけやりたい。
それはうまくいかない。現実的じゃあないから。
悩みつづけて、それでもそれを好きなように気楽にやってる自分が好きや。
やるなら、いつか、やるやろう。
やりたいように、やるやろう。
やらないなら、やらなかったやろう。
好きでいたい。ずっと、好きでいたい。
ずっと一緒にいたい。
でも自分でいたい。それを手放すことは、無意味だなあ。
でもそしたら、かなわない。
だから好きでいつづけるために、
かなわないことを願う ことに したんだな。
叶わなかったら、夢はいつまでも夢のままだな。
私はそうなってしまったんだな。
永遠がない ことを知っている。でも、それが欲しい、それをつくりたいと、それは自分のなかでならつくれるんじゃないか、
と、
たぶん思っていて…
壊れてしまったんだ、あの日から。
だから、信じる、なんて馬鹿げた話だ。
見て触れないものを。
疑って疑って疑って、それでもぶれないものを探しつづけた。
人のなかから。自分のなかにも。
探しつづけた。
人は、かわる。
社会も景色も。よくもわるくも。
変わらないものなんてない。
でも、それでも、それでも、それでも。
2011年9月 9日 「吉瀬」
目が見えない
街がにじんで溶けていく。私の体は比較的すぐ近くにあるはずなのに、輪郭がない。
秋がきた
この季節が来ると、ふつうに、気が違ってしまいそうになる。
それはごく当たり前にさらりと、ぜんぶをさらっていくようで。
さる 空気に殺される。
でも、生きるっていうのはそういうことなんじゃないかと思う。
常に、空気っていう猛毒に触れながらさあ。
なんて、とんでもない妄想だ
あわてないで目を
とじた。
すぐそこにひそむ、そいつと、目を合わせないように。
そして気がついた
そういえば、合わせる目をいま、私は持っていない。
だのに、どうして。