あれから一度も聴いてもないのに、
あたまの中で 鳴った おと
色んなライブに行った。
どんなやつもステージの上で、命を燃やして輝いているようやった。
合う合わないとか好みの問題は別として
どの音楽にも私は もんくは言えんかった。
ただただ うらやましかった
あれから。
ずっと守ってきたつもりのものを全部なくした。
生き方、行く末をなくした私に、音楽がずっと問いかけた。
色んな場所に行った。
色んな人に出会った。
嬉しいことも 悲しいことも起きた。起き続けた。
変わり続けるひとのなか。
走り続けるひとびとの渦。
圧倒されて、うずもれる私がいて、
それを悔しいと思うのを
ずっとずっとこらえた。
ロックはもとから俺ん中にある、と言うたひとがいた。
朽ちるまで続けてみようと思う、と言うたひとがいた。
それぞれ命の燃やし方ってのがあると思う、燃やして生きてゆかねばならん、と言うたひとがいた。
楽しい瞬間なんてなかなか無い、ずっと苦しい、やめたろかと何度も思う、と言うたひとがいた。
楽しい以外、なんもねえ、バンドやらずにお前に自我が保てるのか?と言うたひとがいた。
ずっとバンドをやりたい、これからバンドをやることだけ考えているんです。と言うたひとがいた。
あれから。
目の前を走りだした人を、
止める理由なんてどこにもない。
ただ、私は呆然とした。
変わっていくもの。
変わっていくひと。
目の前でそれを見せつけられた。
本気で頭うたれた。
その時に、ふと、目の前で演奏していたバンドの音が、
まったく、かき消えた。
耳になにも入らなかった。
私の頭の中が一瞬、真空の、まっくろになって、
そのあとに流れたのは、
思い出したくもないのに、
頭のなか、何度も鳴り響いた、うた。
それで、気づいた。
自分は、生きたことなんか、なかったです。
生きたつもりで いてました。
おれはこれをやってみいな、生きたとはいえへんのやなあ。