(書き始め2013/2/13)
頭んなか、鳴り止まないうたがある。声をはりあげて、辿らずにいられない、うたがある。
ぼくはいつから、こんなに君のことが好きになっていたのだろう。
こんなに近くに、ずっとずっと君がいた。君なしでは、生きててもつまらないって思うくらいになってしまってた。
三歳ぐらいの頃、家のスピーカーの前で踊ってた時からだろうか。
夜のトイレが怖くて、おばけなんかないさーって歌いながら、勇気をもらって廊下を歩いた時からだろうか。
合唱のテストの時、無意識に持ってた楽譜をめいっぱい左右にふって、リズムにのりすぎてた時からだろうか。
初めてのカラオケでジュディマリの「そばかす」を、何回も聴いてめちゃめちゃ練習して歌った時からだろうか。
音楽の時間、リコーダーがめちゃくちゃ楽しくて、クラスの中で一人だけ一番難しい曲を選んで、テストでSもらった時からだろうか。
吹奏楽部でいろんな打楽器を触って、それがみんなの音とまじわって一つになった時に、震えるぐらい嬉しかった時からだろうか。
失恋した時に、夕暮れの高架下を泣きながら聴いた別れの曲に、どうしようもなく救われた時からだろうか。
浪人中に、友達から借りたコーネリアスの左右にふれるヘッドフォンミュージックに目ん玉食らった時からだろうか。
大学に入って、なんとなーくで選んだバンドサークルで、たくさんの人と、音楽に出会った時からだろうか。
就活の、最終面接のとき、「夢はバンドをやり続けることです」って言い切って、「二足のわらじを履くのはむずかしいぞ?」って面接官に言われて、「それでもやってみます」って言って、唯一内定をもらった時だろうか。
本気で音楽をやってる人らに、バンドやりなよ、ぜったい音楽、すきじゃん。って言われた時からだろうか。
何もかもなくして、死にそうにつらい時、希望がもう見つからなかった時、とてもとても優しいうたに、出会った時からだろうか。
咳がで続けて息ができないくらいの気管支炎にかかった時、ロックンロールのあいだだけ、呼吸が自由にできら時からだろうか。
君のうたに触れた時からだろうか。
君とあの部屋でうたった時からだろうか。
どうしようもない気分のとき、川でピアニカをふいた時からだろうか。
河原でみんなで楽器持ち寄って太鼓をたたいて遊んで喜ばれたときからだろうか。
スタジオから出たらもう日付が変わってて、切るように冷たい空のした、スネアとペダルをかかえたチャリで坂登って坂下って走るたばこくさい帰り道がなによりなにより、大好きだった!!
おとよ。
初めてバンドをはじめたあの頃、怖いものなんて なにもないと思っていたよ。
おとよ。いつしか君のつなぐ全部に、その美しさに、もうしんでもいいって思えるくらいの瞬間に、出会い続けたぼくはもう、麻薬みたいに、中毒になっているんだろうか。
おとよ、時間の芸術よ。
僕はずっとずっと、きみと一緒にいたい。もっともっと近くへゆきたい。
君しかいらない、なんて思わない。それは私の望みではない。
ただ、わたしのこの命をけずって、けずって、けずって生まれる、おとよ。
楽しいばかりじゃなく、
苦しいばかりでもない。
ただ、きみとともにいたい。
私の残った寿命のなかで、
許されるかぎり多く、
許されるかぎり自然に、
きみのなかにいたい。
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