慧理

家に帰ると懐かしいにおいがした。
何の時かわからない、でも、確かに何かの時に、私は戻る。
でも何の時かわからない。
相手がいなければ戦うことができない、
だから、それが何かわからなければ、抗うこともできない。
渦に呑み込まれる
 
わからないことは
 
わかっていることは。
 
晩ご飯作って、食べる。
豚トロ。
部屋が綺麗すぎてなんだか落ち着かない
洗濯物だけなんかたまってる
 
手元にあるたしかな 記録。
さらさら擦れる紙切れ二枚。
現実の、いま、目の前に存在しているということ。
圧倒的な存在感。生身の感情の表現。
全ての言葉尻尾巻いて逃げ出すほどの リアル。
これを目にして、何が、デジタルや。
 
目の前のものを欲しいと思う。
それがすべて。それがただの、事実で、実感。
あの人の言っていたことが今はすごくわかるから
会って、それを確かめたいとも思う。