記録めいとる帰路めいとる

わたしが、あなたを好きになったことは、まったく間違いじゃなかったんだなあ、と
思いました。

帰りみち
電車で乗り換えてすわったら、となりの席に、完全にゲロのにおいの男の子が乗ってきて、はあはあ言うてた、
その子と一緒に付き添いで乗ってた男の子が、その子に話しかけた。
「おれ次の駅で降りるから。一人でちゃんと帰れるか?」
「おお、ありがとう、大丈夫」
「まあ、ちゃんと洗うもん洗って、栄養とって、ねえや」
「帰ったらそっこう洗濯まわすわ。 …ごめんな。」
「いいって。謝ることなんもないよ」
「すっごく楽しかった、…また、会おうな」
「おう」

ありがとう、
ごめんな、
すっごく楽しかった、
また会おうな。

なんだかその、素直で、謙虚な言葉たちが、ものすごーく自然に少年の口から出てたことに、
私は、ああ、いいなあ、って
思ったのだった。

私にとって、いい朝だなあって

なんというか、
いま死んでも、いいなあ。

家に着いてからものすごく、泣いた、
別に我慢してたわけでもないし
別に悲しいからじゃない

うれしかった、
生きてることが、存在していることが、こんなに誰かに認められてくれることで、
こんなに報われてしまうなんて思ってなかった。

わたしがいなくなればいいのに、って思うことばかりだったから。
それは、周りのひとたちが、私にメリットを見出さなくなったら、私を見捨てるってことが、普通で、ずっとあったから。
私がそのぐらい、面倒くさくて、必要性のない人間性をもってるからなんだなあって。
別に自分が悪くないなんて思ってないですよ。
誰かにとっては悪いんでしょう。
でも、そこを話し合うような人もいない
向かってくるようなやつもいない
それは 放っておいたほうが楽だし どうでもいいからでしょう
 
私の居場所だと思ってた場所から、私が追い出されて、
そしてそれまで輪の中にいた人たちは、何しかメリットのある用事がある時しか、
私に関わってくることはなくなった。
 
ああ、そういうもんなんだなあ  って思うことばかりだった。
必要ない。必要ない。必要ない。
あなたがたはたいへん社会的で、ええかっこしいだから
自分で責任を負わないかんような、そういう言葉は絶対口には出さんよね。
でも私が、そういうあなたがたから受け取ってきたメッセージは、いつもそれだったよ。

何が音楽や、何が仲間や、
すぐにやめるくせに。すぐに見捨てて輪から追い出すくせに。
って
本当にあほらしくなった
ときが
あった

そして君にすくわれた。
音楽のつくる人のかかわりとあたたかさ、
心に入ってくる素直にいじけた、あたたかさに
わたしはとりとめた。
ほんとに、すくわれた。

コミュニティ全体がうまくいくために、誰かを殺せばいいのか?
私はそういうことを、平気で、ふつうだ、思いやりだ、って選べる奴らの集団が、
ひとを自殺に追い込むんだって思うよ。
 
私は、されて、悲しかったことは、誰にも、したくない。
だから、どんなにあなたが好きでも、一緒にいたくても、
あなたの好きな人のことは、傷つけたくないです。

だから離れた、

それが何ってことはない

私には、

何もないから、