多くは選べないと自分に思った。
自分の大したことない能力加減に、長いことかけてようやく悟った。
そしてそれは真実だと思うから、
「生きてやりたいこと」のために
僕は多くを捨てようと思った。
そうすることで、頑張ろうと思ったのだ。
持てる力をなるべく散漫にさせず、
まっすぐゆけると思ったのだ。
色々なことを多く、うまくやろうとすれば、疲れてしまうから。
全部うまくゆかなくなるなと、思ったから。
ほしいものも、自分にはそんなに無いと思えた。
けれど、気づいたのだ。
それはつまり、
「多くを捨てるから、このくらいは見返りがあってもいいのではないだろうか」
なんていう甘い利益主義だったかもしれないって。
そんなふうに世界ができてるとは思わない。
多くを与えたからといって、多くが返ってくるわけがない。
やったことに対して前もって見返りを求めるくらいなら、
何もすべきではないと思う。
でも自分が、本当は、求めているものは、
じつは、「見返り」だったのだろうか。
誰かに褒められて、
そうして自分をみとめてもらえて、生きていることだったのだろうか。
だとすれば、
今考えている「やりたいこと」全てが、
残らずなんだったのだろう、と思った。
もしかして。
僕のやってきたことは?
僕の信じてきたことは、
僕はどこで生きたい?
どうやって生きたい?
なにをなしとげたい?
そう考えていた。
そしてその答えをいつも選んで、うん大丈夫、と思ってきた。
つもりだった。
なんで、まだ生きてるんだ?
もちろん、やりたいことがあるからだ。自分が生きることで、
どこかで何かを殺しつづけても、それでも「自分が生きていたい」と思うからだ。
なんであれ、好きなことをやればいいと思う。
でも、そこに他人が関わってくるのなら、
それは僕の努力とか、望みとか、どうあがこうが、手の及ぶところではない。
だから人は悩むのだという。
僕にも最近、悩みというものがある。前まではなかった。
だからこの考えは今の僕には、わかる。
いつだってひとつの景色にもどってくる。
僕はこんにち、もしかして、と思った。
ついに思った。
僕はバンドなんて、音楽なんてやらなくてもよかったのかもしれない。
あの景色さえ、ずっと手に入っていれば。
他に、何もいらなかったのかもしれない。
何もせずに、幸せだったかもしれない。
でも、それはもうできない。
全てがオルタナティヴ、代替品で、
全てが自分の嫌う醜い利益主義にのっとられていることを知ったときに、
「どうすれば自分が生きていられるか?」
そんなふうな方向から考えるのは間違っていると思ってるけれど、
僕はなんとしても生きていかねばならない。
あれ、でもそれはどうしてだっけ、本当に?
ただの代替思想だろ?
わかったことで、
わからなくなったこと、
証明されることで、答えがでること。
答えがでた先は、結論だ。
もうどうしようもない行き止まり。
楽しくないのか?
楽しくないわけがない。
でも、ある日、
ぼくは思い出してしまう。
みんなみたいに、楽しく、笑えなくなってしまう。
それを同じように行うことが、どれだけ苦痛で、
どれだけ難しいか、
だれにもわかってもらえない。
ぼくは、みんなのように、楽しく、微笑ましくありたいと願う。
自分があることで、誰かを幸せにしたいとも願う。
やさしくなりたいなあと願う。
だけども、僕にはそれがとてもとても難しい。
全力で自分を殺して、ようやく少し同じ会話ができる。少しだけの「人間」になれる。
そんな感じがしているんだ。
でも、わかってもらえない。
誰にもわかってもらえない。
けど、それを恨んだりしてないよ。
ふつうのことだよね。
わかってもらえるのは当たり前ではないのは、わかっているから。
たださびしい。
ずっとずっと、さびしかった。
僕が一番大切で、僕が一番覚えている景色を、
誰も大切ではないし、もう誰も覚えていない。
でも他人は、愛おしいと思う。
人間は、これ以上ないってくらいに矛盾している。
でもそこが、僕はとても好きだと思う。
でもそのなかに、僕は、いない、
そんなことを、ずっと望んできたよ。
僕が一番欲しいものは、それだったのかな。
なんとなくわかった気がする。
以前に一度、わかっていた気もする。
それでも自分が生きるために、
僕は違う答えを、
代替品の答えを、
用意していたんだと思う。
でもやっぱりだめなのかな。
叶うから、やるんじゃないよ。
やりたいから、やるんだ。
でも、本当の望みはなんなんだろ?
本当にやりたいことは?
あの景色さえ手に入っていれば?
僕の望みは、ただそれだけだったのかもしれない。
君がずっと、そばにいてくれさえすれば。
ねえ、望みって、叶わなかったらダメなのか?
ねえ、望みって、叶わなかったらダメなのか?
明日はライブがある。
僕は全力でやる。
いつだってどんなミスをしたときだって僕は何のことも、全力でやってきたつもりだった。
音楽も、仕事も、自分のちからをぜんぶ使うことだと思って、やってきたつもりだった。
求めても手に入らん物はたくさんあるよ
生きていていいことなんて半分もないよ
生きるか死ぬかの選択肢は
自分が最善を尽くしたあとに決めな。
・・・
2014/03/15 彼女の夢を見ていた
明け方四時までギターを弾いてた。
誰の記憶にもないことだ。
わたし、ギターを弾いてた。
小さな声で、うたうたう た。
つまびいた音であそぶ。
偶然ひっかかった弦のならす共鳴音、
おとがまぶしくひっかか か かった。
何のためでもないなんて うそだな。
わたしはわたしを肯定する。
しか
ない
でも自分を疑え。
あなたの国の肯定さんはあなただよ。
大好きなうたうたう。
外の高速道路をはしる、トラックの音が、
ブーストしたベースの音だ。
とっと、とっと、パイプを高速で流れておちてゆく水の音が、
追い打ちかける、太鼓のリズムビートだ。
外で甲高い自転車のブレーキの音。きいきいと音をたてた。
息をのむ。
わけのわからないことをわめいてる、
あの曲は
なんだっけ。