「神様なんていないよ?」
そうやって口の端をゆがめて 困ったように笑うあなたに、
私は、太陽の話をしました。
太陽がのぼり、私をてらす。晴れた空と、澄んだ空気に触れる、
人と人が手をつなぐのも、触れ合うのも、同じ。
それだけで、無条件に心が明るくなるし、うれしくなる。
それが、愛であり、神様ってやつ だと思うんです。
そんな私の話を、あなたは何となくわかってくれたふうに聞いてくれました。
それがたとえ、私を安心させるための、優しい 嘘の振る舞いでも、
私には見抜けないし、嬉しいです。 騙されていたいとも思います。
人間はそうやって、仲良く、あたたかく、生きてゆきます。
それがたまに、とても悲しいです。
それで、暫くの間は騙されていたいと思っていた笑顔も、だんだんわからなくなります。
疑いの気持ちが膨らんでいけばいくほど、私も心から笑えなくなって、
あなたがしてくれたのと同じように あなたを騙して、笑ってあげたいと思うのですが、
どうもそれがうまくいきません。
あなたがそれに気づいて 悲しい顔をするのが怖かったので、
もっともらしい理由をつけて、私はその関わりをもとの場所に 戻すことにしたのでした。
そんな私は半端もん。ボンボンたにし。
あああ、いいなボンボンたにし。最近ずっと頭の中に出てくる単語です。っよ。
正確には「うるさいど ボンボンたにし。」です。
そんなことはともかく、
こんな暖かい悲劇に仕立て上げてまで思い出を美化していても何にもなりません
実際はもっと泥くさく、人間くさく、しぶい苦味の こびりついたような業をこそげ落とそうとする単調作業のような、
みじめでどうしようもない 二人の若者の話なのでした。